touch one’s heart|瀬戸口 友来

自己紹介をお願いします!

ブライダル業界に入る前ですが、もともとは役者の世界に憧れ舞台役者の世界に入りました。
劇団☆新感線の演出補佐をされてた方が演出家を務める劇団に入り、役者をやりながら舞台演出・照明・小道具など、様々なプロの世界に触れていく中で、今まで培ってきた自分のスキルを活かした仕事をしたいと考えておりました。

そんな中、自分のスキルが活かせると思い、はじめはウェディングの司会の世界に飛び込み、ウェディングの司会をしつつ、茨城でラジオパーソナリティを3年半ほど勤めていました。
ウェディングの世界にのめり込む中、舞台でいう演出家がウェディングでいうプランナーの仕事に近いということに気づき、プロデュースにも興味が湧きプランナーの道を選びました。
レストランウェディングのプランナーとして新規からプランニングから、広告や契約業務にいたるまで多岐にわたり学び、入社1年で営業成績1位となりました。
当時、新郎新婦様の満足度をあげるため、様々なサプライズを行い。
某ウェディングサイトでたくさんの記事を書きました。

ウェディングの世界には、当事者のお2人がいて、司会者やヘアメイクさん、音響さん、カメラマンさんがいて、プロのスタッフが集まり、一つの想いに向かって作り上げていっています。
舞台出身の私には、これが仕事でできることが、本当に幸せですごいことだと思います。

お客様にお二人に合わせたビジョンを提案し、それを良いと思っていただけたらそこに対してお客様がお金をかけてプロデュースをさせてくれる、これは舞台の世界ではなかなか現実できなかったことです。
しかも、「ありがとう」という感謝の気持ちまで頂けるなんて本当に幸せな仕事だと感じました。

ウェディングの世界にもっと、舞台では当たり前だった、お二人のカウンセリングからのストーリー化(脚本化)やストーリーが伝わるディレクション(総合演出)ができたら、結婚式で「伝えたいことの本質」をもっと伝えられるパーティーが作れるんじゃないか!と思い、会社内でも様々な取り組みを行ったのですが、なかなか会社内にいるとそれは難しい部分もあることを感じ、独立に至りました。

プロデュース会社にどれくらいの期間いらっしゃったんですか?

司会とプランナー合わせて9年くらいです。プランナーになろうと思ったのは30歳の時でした。
ウェディングの司会とプロデュース、両方をやっている会社でした。

touch one’s heart

会社案内に今入れている言葉「touch one’s heart 」という言葉なんですが、これは直訳すると心に触れるという意味合いなんです。
私が役者になろうと思ったきっかけの舞台があるんですが、この言葉はその舞台に関係した言葉なんです。

18歳くらいのころですが、たまたま知り合いに舞台に連れて行ってもらったことがありました。
その舞台が本当に素晴らしく、未だにそれを超える舞台はないのではないかと思うほど感動したんです。
舞台が終わって役者さんが最後一礼してはけたあと、舞台終了後、客電といって客席の照明がついたら観客が帰り始めるんですが、この時、それでもこの感動の余韻に浸っていたくて、友人にもうちょっと座ってていい?って言ったんですよ。

そんな心がふるえるような感覚を味わいたくて舞台の世界に足を踏み入れました。そして、同じようにその感覚を味わえる世界だと思ってブライダルの世界にも足を踏み入れたんです。

心ふるえるようなときって、いろんな感情があると思うんです。感動だったり、喜びだったり、心にすごく訴えかけるなにかがあった時に心が震えるというか、震えて指先はジーンとするというか、そんな感覚を、自分をはじめ、お二人や、一緒につくりあげるスタッフ、ゲスト全員にも共有してほしいっていう思いが1番根っこの方にありますね。

なんていう舞台だったんですか?

GOD BLESS YOUという舞台でした。
インターネットなどで調べても出てこないんですが。
当時、友人に連れていってもらった舞台だったので、俳優さんも誰も知らない状態でして。
その時の舞台セットはシンプルでほとんど何もないんですけど、音と光の演出がすごくて、あの時に見た演出や考え方が今の自分の演出の基盤になっているように思います。
その舞台で特に忘れられない演出はラストシーンですね。
舞台の最後のシーン、主役の人がセンターに立って、ピンスポットで照らされるなか、最後のセリフを語り、ぐっと引き込まれたところで、ラストに「GOD BLESS YOU」って言うのと同時に、主役に向いていた光が客席にブワッと放たれる感じだったんですけど、その瞬間鳥肌が立ったんですよ、未だにその演出を覚えていて。入り口から出口まで、しっかりとしたストーリーに合わせて演出することで、こんなにも人がのめり込むような時間がつくれるんだと感動しました。。
そんな【ストーリー+総合演出】を結婚式には取り入れていきたいと個人的には思っています。

結婚式にストーリーを

最近の結婚式の傾向として装飾メインのものが多いように感じています。
私はどちらかというとストーリーメインで考えています。
おしゃれなものを作って、おしゃれだったねって感じてもらいえることがゴールであれば装飾メインでも良いかと思うのですが、伝えたいことを伝えるようにするには、お客さんの心の流れも考えて伝わるステップを踏まないと、伝わるものも伝わらないと思っております。

なので結婚式では感謝を伝えるシーンが多くあると思うのですが、きちんと想いが届けられるよう、伝えたい想いのストーリーと伝わるようにするための演出が大切だと思っております。演出といってもイベントという意味ではなく、ストーリーが伝わるようにするための心の手順を整える総合的な演出です。

招待状にテーマ性を感じて、当日まで準備を頂けるように仕込みをしておき、ゲストが当日会場に来た時にテーマに合わせたゲスト側の空気感が出来ているとか、そういった風に段階を踏んでいくことで、ゲストの心まで震えるような、そんな時間まで持っていくための演出をしようと思っています。

ただイベントをやるとか、素敵な装飾をするだけでゲストが感動する時間になるかと言われればそうでは無い場合も多いと思うんです。

入場して時間が来たらケーキカットして、とかじゃなく、その場にいるすべての人の気持ちの流れを考えてストーリーを作っていけたらと考えております。

プロデュースをする際に大事にしていることを教えてください

まずは「結婚式のことはきかない」です。

以前に、いい家を建てる会社の話を聞いたことがあるんですが、その会社では、はじめ、家の話はしないそうです。
住む人の人となり、暮らし方、仕事や周りの人との付き合いなど、その方の人生を伺い、そうして、その人に合った家をオーダーメイドするのです。

結婚式も同じなんじゃないかと私は思っています。
なので、お二人がどんな人生を歩んできたか、大切な人がどういう人で、どういう風に出会って普段どういう風に会話して、どういうことで楽しんでいるのか、2人のことだけじゃなくて、来てくれる人たちがどういうキャラクターでどういう雰囲気だったら楽しめるか、いろんな人の話を聞いてそういう人たちが来るのであれば、こういう風な演出をすればこういう風に受け取ってくれるのではないだろうか、というのを考えていくとまずどういう風な感情の流れを作っていきたいかということが考えられるんです。
はじめにパーティー全体のこういう風に受け取ってこういう風に感じさせたいという感情グラフのようなものを作り、そこに対し2人のストーリーを合わせる。

そこで全体のストーリーを考えていってそこに演出を加えていくという形でパーティーを作りあげていくという感じです。

お二人が新郎新婦から選ばれる理由とは?

まずは、「とにかく二人に寄り添う」ということかなと思います。
よく会場の方からも、お二人のご友人なんですか?と聞かれることが多いですね。
お二人の友人がプランナーだったら最高じゃないですか?というのが私たちの一つの目標なので。
あと、私個人がよくお二人から言っていただくこととしては、イメージがすごくできると言われることが多いかなと思います。

初めてお会いした際に、今までの事例のお話しなどをさせて頂いたりするのですが、その時に、当日のストーリーを、臨場感をもって体感頂けるように、感情に流れを含め、司会のセリフ、音響、照明のタイミングまで、おおげさな読み聞かせのように説明しているかもしれないですね。
説明する際、人の気持ちの流れや、その演出の意味や、結婚式の本質的な部分についても説明をするようにしているので、具体的なイメージを持ってい頂きやすいのかもしれません。そうして、イメージを膨らませていっているので、不安がなさそうだなと思って頂いたり、こうやって結婚式をつくっていくんだな、というイメージが最初からわきやすく、安心頂けているのかもしれません。

あとよく言われるのは新婦から話しやすいと言われます。女性のお客様が男性だから話わからないなって思うのではなく、普通に相談できるという関係が作れる点は選ばれる理由になっているのかなと思います。

印象に残っている結婚式はありますか?

結婚式というか、その準備段階がとても印象にのこっている思い出がありますね。
ビールが大好きな新郎新婦さんがいらっしゃいまして、そんなお二人のウェディングのテーマアイテムがビールだったんです。
お二人のパーティーの装飾にビール瓶、それも海外の可愛いビール瓶を使いたくてお二人とお話しして盛り上がっていったんです。お話しの流れで、私が知っている各国のビールを取り扱っている居酒屋さんを紹介したところ、そこで一緒に飲んでビール瓶をもらってかえろうという話になりまして、かなりの量をみんなで飲んだことがあります。
もう、本番前から打ち上げのような盛り上がりでした。

こんなふうに、仕事という枠をこえてコミュニケーションがとれると、想像の「もう一歩先」の結婚式になる瞬間があります。
仕事としての関係だけではわからない、お二人の生の姿、そんな姿だったり、好みだったり、ふとした想いを何か形にできると、お二人も、そして私たちも想像しなかった想いの本質を伝えられる時間ができるのではないかと思っています。

このパーティーはご新郎のお母様の体調が思わしくなく、どうしても相談から2か月後という急ピッチの準備となりました。
一緒に準備をしたり、ビールを飲んだり、そんな中でお二人から聞くことができたお母様への想い。いろいろと込み入っている部分もあるので、詳しくお話しができないのですが、この想いを聞くことができたからこそ、パーティーがおわった後にも続くストーリーをつくることができ、形にすることができたように思います。

私たちのウェディングチームの強みは、プランナー2名体制でお二人へ寄り添ったコミュニケーションとカウンセリング、そして、引き出したことを形にしてくれる
スタイリスト・アートディレクターの存在だと思っています。
フラワーコーディネーターとドレスコーディネーターとヘアメイクさんそれぞれが結婚式以外でもスタイリスト・アートディレクターとして活躍していて、企業などで空間コーディネートをしている方々が私たちのサポートをしてくれています。
そんな3名のアートディレクターが私たちのイメージを形にしてもらえるのは大きな強みになっていると感じています。

私たちがカウンセラーとしてお二人の想いやイメージを引き出し、こちらがやりたいとしているものをその道のプロたちが最大限の形にしてくれ、結婚式の舞台を作ってくれています。
そんなプロの力が120%出せるような関係性だったり、環境になっていることが私たちのプロデュースの売りでもありますね。

瀬戸口 友来|フリーウェディングプランナー
瀬戸口さん
瀬戸口さん

舞台俳優・舞台小道具制作・司会者・ラジオDJからウェディングプランナーになった異色の経歴を持つ。

ウェディングのプロデュースからイベントプロデュースまで幅広く作り上げ、アートデザインから台本つくりまで

行える希少なスタイルのウェディングディレクター(演出家)。

舞台での経験をウェディングに反映し、二人のストーリーを脚本化、言葉のタイミング・音や光の効果を使い

人の心に響く演出を得意としている。